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I'm...~心の向こう側に~とは、2000年から2001年にかけてTea-Room が製作し、ネット上で配布されている全年齢対象恋愛アドベンチャーゲーム。NScripterを利用して作成された、フリーゲームである。

本来は有料となる予定だったが、完成前にチームが解散してしまったため、未完成のまま無料配布されることとなった。(ただし、最終シナリオがなくなっただけで、ヒロインごとのシナリオは完結している)

概要[]

選択肢によって各ヒロインごとのルート、またはバッドエンドに分岐する。大半は主人公三島正之の一人称視点で進められていき、『声』やヒロインとの関係を通して、”自分”というものに向き合う、という内容である。

フリーでありながらボイスがないにもかかわらず当時大容量の112MB、”人形シナリオ”は削られているものの、ヒロインごとに展開の違う、非常に完成度の高いシナリオ、良BGMなど、高い評価を得ている。が、一方で『前半の中だるみが激しい』、『誤字脱字が多い』という厳しい意見もある。

ストーリー[]

主人公・三島正之はある日、奇妙な現象に出会う。いや、正確には出会ったわけではない。それは、頭の中から起こる現象だったのだから。”自分の頭の中から響く、しっかりとした人格を持った『声』”、それが彼に起きた現象だったのだ。

この現象を奇妙に思いつつも、正之は日常を過ごしてゆく。妹のような幼なじみや、よく物を壊す同級生、あるいは少し普通と変わった先輩と。だが、それは前触れに過ぎなかった……。彼の果たす、彼にしか理解できない邂逅の――。

登場キャラクター[]

三島正之(みしま まさゆき)
本作の主人公。高校二年生。出席番号16番。家族構成は姉が一人のみ。本人曰く、『趣味は漫画、苦手は運動、性格はあまり社交的ではない方だと思う』とのこと。だが、適応能力は意外に高く、協調性もないわけではない。料理は必要最低限程度。積極的になれず、生まれ変わりたいと逃避のように考える癖が昔からあり、自分に自信を持てずにいたが、作中でヒロインや『声』との関係によって己の弱さを受け入れ、内面的に成長する。
もう一人の自分である『影』の浸食によって、自己消失の恐怖を味わい、場合によっては完全消滅してしまう。柚香ルートでは柚香に告白、恋人同士となることで、朝季ルートでは朝季に『影』の存在を明かし、彼女が真実に気づき、『朝季を好きな自分』『朝季が好きになってくれた自分』を肯定することで、消失を免れる。ただし、さくらルートでは彼女の特性故か、他ルートとは違って正之は追いつめられる前に自分の居場所、アイデンティティを得て、消失を未然に防いでいる。
声(こえ)
正之の頭に現れた存在。
その正体は正之の理想や願望から生み出されたもう一人の自分・『影』。理想によって作られた存在のため、整った容姿、頭脳明晰、スポーツ万能、よく気の付く性格に加え、超能力までもつ完璧超人。正之のことは嫌っていないが、その存在の性格上敵となり、正之の居場所、記憶、存在を浸食していくこととなる。だが、さくらルートでは他ルートと違い、行動を開始する前の会話ですでに敗北を悟っているような事を言ったり、正之が自分の存在意義を取り戻し、復活したときも「正之にとっても自分にとっても大切な人」が悲しむことを恐れ、消滅を選択するなど、潔い性格をしている。バッドエンドでは、正之の存在を完全に奪った後、正之の反響に過ぎない自分は、正之がいなくなったことで、消失するしかなくなったことを知り、嘆きの絶叫をあげるシーンがある。
杜宮柚香(もりみや ゆずか)
本作のヒロインの一人。高校一年生。正之のことを「おにいちゃん」と呼び、幼い頃から慕っている幼なじみ。正之曰く「ゲームに出てきそうな関係」(実際そうだが)、「本当の妹のような存在」である。神社の神主をする祖父との二人暮らしで、時折巫女服で手伝いをする。ヒロインの内最初に彼女のルートをクリアすることが推奨されている。
初回クリアが推奨されているせいか、ゲーム中『影』の存在に気付くことはないが、正之が『影』にうち勝つきっかけとなる。また、作中で死亡する描写のある人間は彼女のみとなっている。
藤條朝季(とうじょう あさき)
本作のヒロインの一人。高校二年生で、正之の同級生。正之とは当初から名前で呼び合う。他人の物を借りたり触れたりすると、何故か高確率で物を壊す。しかし、自分の物やもらい物にはその効果が働かない。彼女自身そのことにコンプレックスを持っており、女の子らしくなりたいと思っている。実は尽くすタイプ。ヒロインの内二番目に彼女のルートをクリアすることが推奨されている。ちなみに、文化祭の選択肢次第で、マジカルクラッシャー朝季というキャラクターを正之が描くシーンがある。
作中で『影』の存在を正之から教えられるヒロインは、彼女のみとなっている。また、彼女自身自己のコンプレックスから『影』を生み出してしまうが、今度は正之に助けられる。
華島さくら(かしま さくら)
本作のヒロインの一人。高校三年生。正之のことは「正之さん」と呼び、正之からは「華島先輩」恋人同士になってからは「さくら先輩」と呼ばれる。天然系少女。純真無垢で、他人を疑うことを知らず、いつも敬悟を使う先輩。神社で偶然出会い、正之に親切にしてもらったことから(柚香に言われたためだが)、正之と友達となる。植物と話が出来るという特殊能力を持っており、そのことからクラスに友人がほとんどいない。彼女のルートでは、自分の持つ能力を信じ、受け入れてくれた正之に恋心を抱いていくようになる。お弁当はいつもお手製の饅頭やおはぎ。親愛表現は抱きしめるような「だーれだ?」である。
他二人のヒロインはグッドエンドとされているのに対し、彼女のエンディングはトゥルーエンドとされ、シナリオも全く違い、エンディング曲も異なることから彼女こそが真のヒロインとの声もある。
他のヒロインとは違い、『影』の現れた当初から肉親ですら不可能な、正之と『影』の区別が付いた。本人曰く「私にとっての正之さんは一人しかいませんから…」「…好きな人のことを間違えるはずありません」とのことである。二年前華島桜という少女が桜の木の前で倒れており、それから目覚めた時、彼女の人格となっていた。その正体は桜の精。
三島奈津実(みしま なつみ)
正之の姉にして、唯一の肉親。両親に先立たれるも、正之の母親代わりとして育ててきた。今年で29歳、独身。
前島可憐(まえじま かれん)
柚香のクラスメイト。写真部所属。3年の霧也の妹であると推察される。(名字や、兄がいるという発言から)
いつもハイテンション。正之曰く、名前とは正反対の性格で、話していて頭の痛くなるようなやつ。
スリーサイズは77・57・80。柚香のことをゆっぴと呼び、正之との仲を応援しているが、本当は自分も正之のことが好き。
暁織霞(あかつき おりか)
事実上さくらルートにのみ登場。さくらのクラスメイトで、親友。(ただし、さくらは過去の出来事から、友達と思われていないと思っている)
さくらのことをいつも気にかけている、保護者のような存在で、さくらにとってもとても大切な人。ハキハキとした物言いをする、明るいお姉さんのような先輩。正之とさくらの関係をからかいつつも応援している。
華島桜の親友であり、過去に華島桜にも『影』が現れたため、『影』という現象に詳しい。その際、自分の不手際を悔い続けている。また、『影』の現れた正之にアドバイスをした
前島霧也(まえじま きりや)
朝季ルート、さくらルートに登場。3年の男子生徒で、朝季の部活の部長。
正之や織霞のように「さくら」と「桜」の雰囲気の違いがわかる数少ない人物。織霞と違い、桜とさくらの違いに耐えられず、離れていってしまった。恐らく、桜の恋人であったと思われる。
華島桜(かしま さくら)
さくらルートにのみ登場。
二年前、『影』により存在、記憶、意識の全てを浸食され、消滅した存在。彼女の体は華島さくらとなって目覚める。消滅したと言っても、桜が正之の夢に現れ何度かアドバイスをしたことや、さくらと織霞の最後の会話から、復活する可能性もあるようだ。正之の告白を受け入れたさくらが正之と接触できなかった原因は彼女の肉体が正之ではないある人物(おそらく霧也)への恋心を忘れていなかったため。このことを正之の『影』は、「心は恋をしても、その器は恋をできないんだ…」とのことであり、これが原因で心と身体のバランスがとれず、華島桜の身体は再び昏睡状態となった。
石野(いしの)
正之のクラスメイトの男子。能動的、社交的で、行事にも積極的に参加する。どこからかバニースーツを入手できる兄を持つ。柚香のことを(恋愛感情ではなく)気に入っている。
人形の少女
さくらルートに登場。
未完成のまま消失してしまった最終ルート”人形シナリオ”の主要キャラクター(ヒロイン?)。さくらルートでほんの僅かだけ登場するのは消失したシナリオの伏線のようだ。公式設定ではないと言っているが、スタッフはHPの掲示板で、その存在の設定上の説明をしている。彼女は、『影』という現象のきっかけであり、「菊」という少女が親切にしていた人形で、彼女が殺害された際その血を浴びて人形・菊として仮初めの命を得、人間の「菊」になろうとするも、その手段が見つからず、何十年も過ごしながらその答えを探し続けている存在である。正之に対する「答えを教えて下さい」という言葉はそのためである。また、完全版が存在していたなら、菊ルートも存在した可能性もあるらしい。

外部リンク[]

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